バッテリィズが2025上半期ブレイク芸人1位!M-1準優勝から始まった“正攻法の快進撃”

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M-1準優勝を契機に、ORICON「2025年上半期ブレイク芸人ランキング」1位へ。“野球バッテリー”の分かりやすさと王道のネタ設計、東京進出後の伸びしろまでを丁寧に解説します。

はじめに

2025年上半期、加速度的にテレビ露出と話題を増やしたコンビがバッテリィズです。ORICONの「2025年上半期ブレイク芸人ランキング」で1位を獲得し、名前だけでなく“キャラとしての輪郭”まで多くの人に届く存在になりました。昨年のM-1準優勝を契機に、劇場・テレビ・CM・SNSのどの面でも「見つかった」ことが、この半年の躍進を説明してくれます。

M-1準優勝という分岐点

2017年結成の二人は、M-1グランプリ2024で初の決勝進出を果たし、ファーストラウンドを高得点で突破。最終決戦で優勝こそ逃したものの、爪痕は十分でした。力の入りすぎない言葉選び、勢い任せではない構成、最後にもう一段“畳みかける”終盤の加速。テレビ尺でも伝わる見やすさと、舞台で鍛えた体感速度のバランスが、幅広い層に受け入れられた要因だと感じます。

“野球バッテリー”という分かりやすさ

コンビ名の由来は、草野球で本当に投手(エース)と捕手(寺家)を組んでいたこと。説明不要で関係性が伝わるうえ、トークでもネタでも野球語彙や“サイン交換的な呼吸”が自然ににじみます。初見の番組であっても自己紹介の手間が少なく、いきなり本編の笑いに時間を割ける。テレビに強い“記号性”を最初から持っていたコンビと言えます。

エースと寺家、役割の美学

エースは一見“直感で突っ走るボケ”。けれど本当は、シンプルな言葉で状況をズラす器用さがあります。寺家はテンポと拍(はく)を管理する司令塔。声量や間の置き方が安定していて、笑いの波を途切れさせません。二人の差し引きがちょうどよく、ネタの中盤から終盤にかけて笑いを重ねながら最後に大きめの山を作る、教科書的な王道設計が際立ちます。

“数字の物語”がニュースになる

M-1以降はステージ本数が増え、CMも複数社からオファー。番組で自ら月収のビフォー・アフターを語ったことも相まって、“売れ方がわかりやすい芸人”として一般ニュース化しやすい素材が揃いました。数字がニュースになり、そこからネタを見に来る人が増え、SNSでも断片が拡散される——この循環が2025年上半期の勢いを生んでいます。

東京進出という第二章

2025年春に大阪の劇場を卒業し、拠点を東京へ。上京の直後に単独イベントを打ち、先輩を招いた“始球式”のような企画で物語の続きを始めました。関西で鍛えた地力に、東京の番組・スポンサー・コラボの機会が接続されると、露出の“面”が一気に広がります。上京というドラマはファンの語りやすい話題でもあり、SNSで祝福や体験談とともに拡散されやすいのも強みです。

SNSで伸びる理由

短いクリップでも笑いの核が伝わるネタ設計、そして素朴で憎めない“印象の良さ”。この二点がショート動画と相性抜群です。炎上の匂いが少なく、バックステージやオフショットも“応援したくなる”トーンに収まりやすい。テレビで見かけて気になった人が、XやTikTokでハイライトを漁り、そこから地上波や配信の本編に戻ってくる導線ができています。

ネタの見どころを3点だけ

(1)設定の単純さ:誰でも“今この人が何をやっているか”がすぐに分かる
(2)言葉の角度:ひと言の置き換えで世界をズラす(難しさを見せない)
(3)終盤の加速:終わりに向けてリズムを上げ、余韻で笑いを残す
舞台の手数は多いのに、観客の体験はむしろ軽やか。ここに“王道なのに新鮮”と感じさせる鍵があります。

テレビでの“扱いやすさ”

番組側の視点で見ると、写真映えする表情、短く切っても意味が通るセリフ、見出しに置きやすい固有名詞(M-1準優勝/東京進出/CM◯本など)が多い。企画側の期待に対して“取り回しが良い”ことは、呼ばれ続ける重要な条件です。ロケ、体当たり、トーク、クイズ——どの現場でも“素の温度”が上がりすぎず、番組の尺に収まるのも信頼を集める要因でしょう。

ファン層の広がり

最初に刺さったのは賞レース視聴層。その後、情報番組やバラエティでの露出で一般層に波及し、CMで“家族視聴”でも認知が進みました。ネタを見たことがない人でも、名前や顔だけは知っている層が一気に増えたのが2025年前半の変化です。ここから先は“名前知ってる”層にネタで落としていけるかが勝負所になります。

今後のカギは“二刀流の最適化”

短尺(テレビ・SNS)と長尺(劇場・単独)の二刀流を、どちらも落とさず回せるか。短尺では“手触りがすぐ伝わるひと言”を磨き、長尺では“構成の山”を増やして満足度を高める。東京はコラボ機会が多い分、露出の密度に対してネタの鮮度を落とさない管理が必要です。とはいえ、バッテリィズは“野球のバッテリー”という設定自体が企画と相性抜群。スポーツ番組、球団・スポーツブランドとのタイアップなど、自然に広がる余地を最初から持っています。

“負けを語れる”強さ

M-1で勝てなかった理由を素直な言葉で話せる芸人は、その後のテレビで強いです。勝った理由だけでなく、敗因や改善点を笑いに変換できることが、企画の中で機能します。二人のコメントは、相手や場へのリスペクトがにじみ、視聴者にストレスを与えない。番組サイドが“安心して任せられる”と判断する空気は、露出の継続に直結します。

“数字の続き”に期待

CMが増え、イベントも盛況。数字の物語はまだ途中です。ここからは、冠・準冠でのハマり方、単独の充実、そして“らしさ”を保ったまま民放横断で露出を積めるかがポイントになります。野球の比喩を超えて、二人の人間味や生活感がまた一歩外側へ滲んだとき、ファンはもっと増えるはずです。

まとめ

上半期1位という肩書きは、ただの通過点です。バッテリィズの真価は、王道の構成を崩さずに時代の速度に合わせていけるかどうか。“投手と捕手”のように、お互いのサインを短く交わしながら、次の一球をどこに投げるのか。正攻法の快進撃は、後半戦でも続いていきそうです。

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