- なぜ“おしゃれ”が走りのモチベを上げるのか
- ELDORESO——プリント×機能、レース映えの代表作(ショーツ/キャップ)
- Answer4——UL発想のザック&ショーツ、実戦的ミニマリズム
- HungerKnock——キャップ文化の火付け役、限定色の攻略
- Mountain Martial Arts(MMA)——和柄×高機能、街—山—レースをつなぐ日常着
- Teton Bros.(ティートンブロス)——雨と風に強い、薄手シェルの名手
- and wander(アンドワンダー)——反射材デザインが夜ランに効く“山街ミックス”
- 相性マップ——レース派/トレイル派/シティラン派の買い方
- セットアップ例——“地味派手”コーデ3通り(季節別)
- まとめ
なぜ“おしゃれ”が走りのモチベを上げるのか
見た目は“飾り”ではありません。着たいウェア=外へ出る理由です。軽さ・乾きやすさ・ポケット配置といった機能が、「今日も行ける」を後押しします。ブランドの世界観は、練習の継続をデザインします。
ELDORESO——プリント×機能、レース映えの代表作(ショーツ/キャップ)
強めのグラフィック×軽量素材。レース写真で一目で“自分”が見つかる視認性が魅力です。股下短めのショーツは可動域広めで夏場のスピード練にも◎。キャップは吸汗ライナーが優秀で、前上がりのシルエットが顔周りをすっきり見せます。
10年くらい前でしょうか、トレイルランナーから火が付いた印象が。派手なプリントの短パンが目を引き、筆者もトロピカルフラワープリントや幾何学模様プリントなど何着か持っています。
トレランって、ザックを背負うので、気合入れてお洒落なTシャツを着ていても、半分隠れてしまうもの。そんな時、誰とも被らない派手派手短パンを履いて走ると、「どこの(ブランドの)短パン?」ってレース中に訊かれたものです。
当時から17000円位とちょっとお高めでしたが、大きめのファスナー付きのメッシュポケットが機能的で一度履くと手放せなくなりました。トレランだけでなく、ロードレースでも履いている人を見かけるようになり、お互い見つけると「仲間~♪」みたいなリアクションをとりました。
現在は、様々な大学や実業団がELDORESO を採用しており、昨年のパリオリンピック2024ではモンゴルマラソンチームのウェアがELDORESOでした!
ELDORESO、オリンピックデビュー!!
先日の世界陸上では、モンゴルのセルオド・バトオチル選手はオリンピック時に着用していたELDORESO キャップを今回も被ってくれていました。
デザイナーで代表の阿久澤氏は陸上強豪校からスポーツ推薦で国士館大学入学、箱根駅伝出場を目指していたガチランナーです。箱根出場は叶いませんでしたが、現在もトレランやロードレースに参戦し、製品のブラッシュアップを図っています。
ガレージブランドとしてのスタートですが、尖ったカッコよさと機能性、どちらも諦めない日本のスタンダードブランドになってしまったな、と誇らしい反面、筆者は少し寂しい気がしないでもないです。
Answer4——UL発想のザック&ショーツ、実戦的ミニマリズム
ウルトラライト(UL)思想をランに最適化。パッカブル性/揺れないフィット/必要充分な収納が秀逸です。人気の“3Pocket Short”はジェルや鍵が横揺れしにくい角度のポケットが肝。ザックは身体の面で支える設計で、30kmからウルトラトレイルの“正解”になりやすい。

筆者が初めてAnswer4のFocusを見かけたのは、10年位前、新宿のはずれの山のギアを集めた小さな工房だったと思います。
そこは複数のブランドのデザイナーさん達が作業をするのか、ミシンや大きなテーブルが設置されていました。壁には各ブランドのザックやサコッシュなどがディスプレイされて、実際に手に取ったり背負ったりすることができました。Focusは逆三角すいのフォルム、背中にぴったりフィットする、当時は目を引く、ある意味、奇抜なデザインでした。
当時、トレイルランナー、石川弘樹さんがプロデュースした、グレゴリーのトレランザックが1万5千円位で買えた頃、Focusは普通に2万円超えという高級品でした。
その後、私は迷彩柄のFocus Rを購入。約20L容量とトレランにしては大きめサイズで、レースには使わず、主に通勤ランや休日のLSDに使用しました。現在も使用しています。LSDで行けるところまでゆるーく走り、日帰り湯に入り電車で帰って来る。必要最低限ですが、着替えを入れることができる容量なので凄く重宝しています。
10年前のトレランのハイドレーションと言えば、背中にハイドレーションパックを背負い、チューブを胸元でクリップ止め。必要に応じて外して補給するというのが主流だったと思います。
長いチューブが、繰り返しの使用で衛生的にどうなの?と思いつつ、でもそれがカッコよく見えたものです。
そんな頃、Answer4は、ショルダーストラップ部分にドリンクホルダーとなるポケットをデザインしました。Ultimate Directionもずっとそうですが、今のハイドレーションの主流となっています。
ポケット部分の縫い糸がほつれてきていますが、ヘビーユーザーの友人に聞いたところ、安価に修繕してくれるとのこと。今どうかわからないので、問い合わせてみたいと思います。
HungerKnock——キャップ文化の火付け役、限定色の攻略
被り心地の軽さ×吸汗性が病みつき。限定色のドロップ文化がSNSで盛り上がるので、シティランの差し色に効きます。ツバの反り具合とクラウンの高さが日本人の頭型に合いやすいのも人気の理由。

Mountain Martial Arts(MMA)——和柄×高機能、街—山—レースをつなぐ日常着


写真プリント/和柄など“らしさ”満点のデザインに、吸汗速乾・ストレッチを組み合わせた万能アパレル。ショーツはスマホが揺れにくい背面ポケットが実用的。街→トレイル→銭湯までそのまま行ける“ライフスタイル直結”がMMAの真骨頂です。

Teton Bros.(ティートンブロス)——雨と風に強い、薄手シェルの名手

山の現場で鍛えられたパターン設計と撥水透湿。Wind River Hoodyなど薄手シェルは夜ラン/小雨/稜線風に頼れる相棒。縫製の運動追従性が高く、ピッチを崩さないのがラン用シェルとしての価値が非常に高いと言えます。トレイル装備の生地とも相性抜群です。
Tetonと言えば、Tsurugiジャケットでしょう。最近、トレラン界隈であまり見かけない??と思っていたのですが、珠数が少ないようですね。Tetonの公式サイトを見ると、マウンテンランニングのカテゴリに出てくるTsurugiジャケットの種類が少なく、そして少しお高め。ますます玄人好みなウェアに昇華している感じです。
スノボのウェアでTsurugiジャケット、堪能できそうです。本当にカッコいい。
私が1枚だけ持っているTsurugiジャケットは肩のTetonのアイコン、マウンテンライオンのマークが剥がれ始めていますが、軽くて柔らかい素材と内側のメッシュ素材もへたれず、10年位、ランに街着に活躍しています。
ジャケットのファスナーを上まで閉じると、顎にあたるはずなのですが、その部分にはカバーが施されており、プレイヤーの集中を途切れさせない心遣いが光ります。
Tetonはグレーやベージュ、ピンクやイエローもありますが、スモーキーがかったカラーリングも素敵です。
この記事を書くにあたり、久々にTetonの公式サイトを拝見したのですが、なんと!マウンテンライオンちゃんがいないではありませんか!!
2025年の秋冬、まさに今シーズンから、ロゴが変わりました。
久しく遠ざかって申し訳ありません・・・。曲線の一筆描きマークはスペインのロエベのマークにも似てなくもない(失礼!)
曲線の重なりが、伝統と革新の糸を縦横にめぐらせて作る独創的な生地を表しているそう。
繊維のテクノロジーと機能美のデザインでモノづくりを追及するTeton Brosにぴったりなロゴです。

楽天では、まだマウンテンライオンのアイテムが入手できそうです。
and wander(アンドワンダー)——反射材デザインが夜ランに効く“山街ミックス”

リフレクター使いが象徴。夜ランでの被視認性をデザインとして成立させています。撥水ナイロン/ソフトシェルはタウンユース寄りに見せつつ、実走でもストレスが少ない。“走っても浮かない街着”を求める読者に刺さります。
and wanderはISSEY MIYAKEに所属していた、池内啓太氏と森美穂子氏の2人のデザイナーによって2011年に設立されました。アウトドアとモードの融合が素晴らしすぎます。
トレッキングパンツにタイダイのようなグラデーションのカラーリングを合わせたデザインを見た時に一目ぼれしたブランドです。
SalomonやROA、MonclerやGramiciなどとのコラボレーションも盛んです。
普通にアパレルのオンラインショップで販売されていて、テクノロジー素材を使っている、アウトドアに出ても高機能であることを知らない購入者もいらっしゃるのではないかと思います。もったいない・・・。
相性マップ——レース派/トレイル派/シティラン派の買い方
- レース派:軽量ショーツ+吸汗キャップ(ELDORESO/HungerKnock)
- トレイル派:揺れない収納×薄手シェル(Answer4+Teton Bros.)
- シティラン派:街で浮かないセットアップ(MMA/and wander)
→ KPIは“走行距離が増えたか”。見た目の満足だけで終わらせず、着替える→外へ出る行動が増えるかで評価します。
セットアップ例——“地味派手”コーデ3通り(季節別)
- 春夏:白T×柄ショーツ×軽キャップ(汗染み目立たず、写真映え)
- 秋:薄手シェル×ベーシック短パン×ロングソックス(朝夕の冷えに対応)
- 冬:保温ベース+防風シェル×手袋(and wanderのリフレクターで安全性UP)
まとめ
機能で走りを底上げしつつ、世界観で気分を高めてくれるのが“玄人ブランド”の醍醐味です。今日はレース仕様のエルドレッソ、週末はトレイルでアンサー4、雨風の日はティートンブロス、街ランはMMAやand wander——そんなふうに天気・距離・気分で装備をローテしてみてください。シューズだけでなく、ショーツのポケット配置やキャップの被り心地、薄手シェルのしなやかさがフォームやピッチの安定に効いて、結果としてタイムや疲労感にも差が出ます。サイズは無理せず“やや余裕”を基準に、まずは1点だけワードローブの核を決め、そこから少しずつ揃えるのが失敗しないコツです。新品にこだわらないなら、リユースや型落ちも上手に使ってください(デザインで“古さ”が出にくいのも強みです)。最後に、走りたいと思える服が、いちばんの練習計画。あなたの日常に合う一枚を味方につけて、今季のランをもっとオシャレに、もっと自由に楽しんでくださいね。