2021年秋冬コレクションで、ユニクロとの初コラボを果たしたWhite Mountaineering。アウトドアの機能に都会的なエッセンスを落とし込み、自然の中でも都会でもスタイリッシュに着こなせ、人気となりました。
コラボ商品自体も少なかったのか、意外に知らなかった人も多かったようで、SALE時に存在を知り、知った時には気に入ったデザインやカラーは既に完売という状態でした。
今回は、ブランド、White Mountaineeringとデザイナーの相澤陽介さんについて掘り下げたいと思います!
相澤陽介|プロフィール
相澤 陽介(あいざわ ようすけ)
1977年10月25日生まれ
埼玉県出身
1999年 多摩美術大学染織デザイン科卒業
同年 ㈱コムデギャルソン入社。ジュンヤ・ワタナベの企画生産部に勤務
2004年 ㈱コムデギャルソン退社
2006年 自身のブランドWhite Mountaineeringをスタート
2012年 ロンドンオリンピックにてMIZUNO担当のウェアデザインを担当
2014年 代官山にWhite Mountaineering SHOPをオープン
2019年 北海道コンサドーレ札幌のクリエイティブディレクターに就任
2019年 リーガロイヤル大阪のスタッフユニフォームのデザインを担当
2020年 クロネコヤマトのドライバー、受付スタッフの制服デザイン担当
同年 LARDINI by YOSUKE AIZAWAをスタート
2021年 北海道コンサドーレ札幌のユニフォームデザイン担当
同年 株式会社コンサドーレ取締役就任
エピソード
相澤さんの父親はグラフィックデザイナーをされていたそうです。1960年代、福生周辺で生活をしていたそうです。福生と言えば米軍基地があり、そこで遊んで、ファッションもアメリカンな本場仕込みのアイビーに親しんだようです。
既にお亡くなりになっているようですが、ブルックスブラザースがお気に入りでアメリカ製のシャツが何百枚も遺され、カレッジ、ミリタリーとカテゴリー分けして保管されていたそうです。相澤さんはそれを今でも手元に遺しているそうです。着るわけではなく、ご自身がそういう服を作りたいと思ってのことで、実際作り続けているんですね。
コムデギャルソンでは入社数年で企画アシスタントのような役割を担うようになっていたそうです。20代前半から年に4回のコレクションに関わり、パリに出張するなど多忙な日々を送っていました。
5年勤務後に、コムデギャルソンを退職。
自身のブランド立ち上げまで、2年程の空白期間があります。この間は、建設会社をやっている友人に誘われ、工事現場で肉体労働を半年ほどしていたそうです。
相澤さんは当時、コムデギャルソンでメンズ部門の立ち上げに参加したことから、その際の資金繰りなど大変さを痛感していた為、相当の覚悟がないと自身のブランドなどできないと考えていました。自身のブランド立ち上げには興味がなかったそうで、再度、アパレル業界で転職というのも考えていなかったそうです。
半年の工事現場での経験、その後半年は運送会社でも働いたそうです。
しかし、ファッションと関係なさそうな肉体労働の現場でも、ニッカポッカにデニムのシャツを合わせたりキャップを被ってみたり、コーディネートを考えてしまう自分がいたそうです。
そして、再びアパレルの世界に復帰します。2006年にWhite Mountaineeringを立ち上げます。
自分で出来る範囲で、一番いい物を作ろうと、ブランド立ち上げ前にゴアテックス社に素材提供の依頼をしに行き、ウールツイードのゴアテックスを共同開発したそうです。White Mountaineeringはファーストシーズンからゴアテックスを使ったそうです。
2012年、ミズノとのコラボで、ロンドンオリンピック選手団のウォームアップスーツなどのデザインを手がけます。
2013年にはMoncler Wのデザイナーに就任しています。相澤さんのコラボレーションの仕事は多く、2014年にアメリカのバートン、2015年にはイギリスのバブアーのデザインも手掛けています。
『服を着るフィールドは全てアウトドア』がコンセプト
White Mountaineeringはガチのアウトドアブランドではありません。子供の頃から父親とアウトドアに親しみ、自身も山登りなども楽しんでいますが、その時に着る洋服が一番好きだったと言います。それでアウトドアをブランド名として取り入れようと思ったそうです。
当初はアウトドアブランドと勘違いされることも多かったようです。
しかしながら、相澤さんのプロダクト、素材選びや機能性はまさにアウトドアブランドに勝るクォリティとなります。White Mountaineeringのコレクションと、フランス、イギリス、アメリカでのブランドとのコラボで世界的な知名度が高まり、日本国内では企業のユニフォームのオファーが数多く入るようになりました。
2020年にヤマト運輸で20年ぶりのリニューアルとなったユニフォームを手掛けたのは相澤さんでした。肉体労働の経験をされたからか、実際ご自分のユニフォームを着て物流センターに、トヨペットでも修理工場に行って、素材のストレッチ具合など動作確認しながらデザインをしたそうです。
また、コンサドーレ札幌のグッズデザインから、ユニフォームを手掛け、なんと取締役にも就任しています。コムデギャルソンでのブランド立ち上げにかかわったことで売り上げや予算組みなどの領域にも対応できるのです。
まとめ
2021年にはUNIQLO and White Mountaineeringをスタート。秋冬物の暖かくて軽くて動きやすいは正に相澤さんの真骨頂だったのではないでしょうか?筆者ももっと早く気づいていれば、ウルトラライトダウンのジャケットを買えたのに・・・と後悔しかりです。
コンサドーレ札幌のユニフォームを手掛けているとのことで、春夏物のコレクションは担当されないのかなとプレスリリースを待っています。エアリズムなどのクール素材を利用した快適でオシャレなプロダクトを作ってくれるのではないかと期待しているのですが・・・。
アウトドアの素材は元々材料費が高いです。アウトドアの衣料品に関しては、値段とクォリティは比例するのが常です。正直、正規のWhite Mountaineeringコレクションは高くてなかなか手が届かないです。そこをコラボによって、価格を抑えて相澤さんのデザインを手に取りやすくしてくれたUNIQLOはやはり凄いなと改めて思いました。
相澤さんは現在、母校の多摩美術大学、美術学部生産デザイン科テキスタイル専攻で客員教授をされており、若いクリエイターの育成にも力を入れています。これからも、相澤さんの活動に注目です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。